母の指先が、少し黒かった
今日は土曜日で、仕事は休みでした。朝から霧雨が降ったりやんだりして、蒸し暑い日でした。昼前に、実家へ顔を出しました。
母は庭にいました。梅雨の合間の草取りをしていたようで、軍手をしていても、指先が土で黒くなっています。先月までは、内職の検品で細かい部品を見ていた手です。仕事を辞めて三か月ほどたちますが、手持ちぶさたになるどころか、前より動いているように見えます。
「することがなくて困る、と言うかと思っていたのに」と言うと、母は目を細くして笑いました。畑の端に、ミニトマトの苗を二本足したそうです。検品のときは、一日じゅう下を向いていたので、いまは空を見る時間が増えた、とも言っていました。
帰りがけ、近所の西峰公園の前を通ると、母と同じくらいの年ごろの人たちが、傘をさして散歩していました。母もそのうち、あの輪に入るのかもしれません。
土のいろ爪のあいだに残したまま麦茶をつぐ母の手を見る
まだ慣れない歌ですが、今日の実家の景色は、三十一文字にしておきたくなりました。
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