3861人の中に、知っている名前がひとつ
仕事帰り、母の家に寄った。小雨で畑には出ていなかったらしく、こたつの上に新聞が広げてあった。秋の叙勲の受章者の名前が、ずらっと並んだページ。合わせて3861人。誰が数えたのか。
母は、新聞を隅から隅まで読むのが好きで、案の定、老眼鏡を額にのせたまま栃木の欄を指でなぞっていた。「この人、あんたの小学校の校長先生じゃない?」と。言われてみれば、わたしが卒業したときの校長先生の名前。顔はほとんど覚えていない。(朝礼の話が長かったことだけは覚えている)
そこから母は、当時の担任の話、PTAで一緒だった人の話、その人の娘さんの嫁ぎ先まで、一気に。わたしは湯のみを持って相づちを打つだけ。一応、時計は見た。1時間いましたけど、何か。新聞はそのあいだ、ずっと同じページのまま。
帰りぎわ、母が「お父さんは、こういうのもらえる人じゃなかったけどね」と笑っていた。まあ、確かに。町内のどぶさらいを30年欠かさなかった人だけど、それで勲章は出ないんだそうで…。わたしの中では、とっくにひとつ出している。
おみやげに、母の畑の大根を2本。さすがに、傘とバッグと大根2本では手が足りなかった。(重かった)
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