実家の縁側に置いてきたもの
日曜に寄れなかったので、火曜の仕事のあと、少しだけ実家に顔を出しました。霧雨が降ったりやんだりの夕方で、自転車ではなく、ひさしぶりに歩いていきました。
玄関を開けると、母は台所で内職の検品の箱を片づけているところでした。小さな部品を、ひとつずつ光にかざして見る仕事です。細い目をさらに細くして、「今日は目がしょぼしょぼする」と言います。そう言いながら、手は止まりません。
奥の部屋では、父がテレビの前で新聞を広げていました。こちらを見て、「来たか」と一言。それだけで、また紙面に戻ります。口数は少ないのに、帰るころには、仕事で使えそうだからと切り抜いた記事が、机の端に積んでありました。いつも、黙って用意してくれています。
縁側のガラス戸の向こうでは、祖母が家から持ってきたという座布団に腰かけて、庭の柿を眺めていました。背中が丸くなって、座布団のほうが大きく見えます。柿は、まだ渋いまま色だけ先に染まっていて、「干すにはもう少し」と祖母が教えてくれました。
帰りがけ、母が漬物の袋を持たせてくれました。袋の底が、少しあたたかい気がして、振り向くと、縁側の灯りがぼんやり滲んでいました。霧雨のせいでしょう。実家は、近いのに、行くたびに少しだけ遠足のような気分になります。
コメント
| « 目薬をさす日曜 | 祖母の湯のみ » |
カテゴリ・タグ
| カテゴリ | 日常(1277) |
|---|---|
| タグ | 日常家族仕事母息子雑記行事近所実家体調冬夫職場ごはん育児節約夏秋失敗おでかけ日曜日畑休み休日猫自転車長女健診友だち新生活 |