祖母の湯のみ
先日の日曜、実家の近くでひとり暮らしをしている祖母のところへ、顔を出してきました。八十二歳になります。
背中は、会うたびに少しずつ丸くなっています。それでも玄関先まで自分で出てきて、「よう来たね」と言うのは変わりません。炬燵はまだ出ていませんが、居間の座布団は、もう冬の厚さになっていました。
祖母は、急須でお茶を淹れながら、近所の小さな神社の話をしました。毎朝、犬も連れずに、杖をついて境内まで歩いているそうです。鳥居の前で一礼して、石段の手前まで。上までは登らない、と決めているのだと聞きました。わたしが神社めぐりを始めたと話したら、「そんなら、手を合わせる順番くらい知っとるやろ」と笑われました。順番を知らないわけではないのですが、祖母に言われると、背筋が伸びます。
帰りぎわ、祖母は「また来られ」と言って、戸口で見送ってくれました。角を曲がるまで、振り返るたびに、小さな姿がまだそこにありました。湯のみの底に残った茶葉を思い出しながら、自転車をゆっくり漕いで帰りました。
コメント
| « 実家の縁側に置いてきたもの | 校正刷りの赤い線 » |
カテゴリ・タグ
| カテゴリ | 日常(1277) |
|---|---|
| タグ | 日常家族仕事母息子雑記行事近所実家体調冬夫職場ごはん育児節約夏秋失敗おでかけ日曜日畑休み休日猫自転車長女健診友だち新生活 |