二月の実家は、ちゃんと寒かった
日曜、実家に顔を出した。ロードバイクで行こうかと思ったが、外を見て車にした。二月の朝は、やる気だけでは走れない。
玄関を開けると、廊下が冷えていた。居間だけストーブがついていて、家の暖かさがそこに全部集まっている。母は「寒いでしょ」と言いながら、こたつの一番いい場所を空けてくれた。三十四にもなって、席を用意されている。
父は新聞を読んでいた。こちらを見て「自転車、乗ってるのか」と聞くので、「乗ってる」と答えた。会話はそれで終わった。ただ、そのあと十分ほど、父は自転車の話をそれとなく探していた。知らないふりをして、こちらも少しだけ喋った。ギアの数とか、川沿いの風とか。趣味の話になると、自分でも口数が増えるのが分かる。
妹は試験前らしく、部屋から出てこなかった。ドア越しに声をかけたら「うるさい」と返ってきた。元気そうでなによりだ。
帰りがけ、母が袋に何か詰めて持たせてくれた。断るほどでもないので受け取った。車の中で、暖房を入れてから気づいた。実家にいる間、一度もコートを脱がなかった。それでも、帰る時間になると、少し名残惜しかった。
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