母の窓辺に、アジサイの鉢を置いてきました
今日は外来の仕事のあと、実家に寄りました。一日じゅう霧雨のような、しっとりした空でした。
母は86歳になりました。背中はだいぶ丸くなりましたが、台所に立って、お茶を入れてくれます。私が湯のみを持とうとすると、「自分でやるから、座っていなさい」と言うのです。看護師をしていても、母の前では、ただの娘です。
帰りに、うちの庭で咲き始めたアジサイを小さな鉢に移して、持っていきました。母は窓辺に置いて、「雨の日のほうが、きれいに見えるね」と目を細めていました。青というより、少し紫がかった色です。
そのあと二人で、朝日ヶ丘神社まで、ゆっくり歩きました。実家からは、五分ほどの道です。途中で二回、立ち止まって休みました。母の歩幅に合わせると、見過ごしていた道ばたの草花が、よく目に入ります。山を歩くときと、少し似ています。
鳥居の前で手を合わせて、母は長いこと、何かをお願いしていました。何を頼んだのかは、聞かないでおきました。夕方、霧がうすれたころに、またねと言って帰ってきました。
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