手首に湿布を貼って、鏝を握ってみた
朝から曇りで、庭に出る前に右の手首へ湿布を貼った。むかしからの痛みで、冷えると出てくるもんね。
物置になった作業場に入って、鏝を一丁取った。中塗り用のいちばん使い込んだやつで、柄の木が、わしの手の形にへこんどる。握るとぴたりと合う。手がおぼえとる。
それがね、板に土を少しのせて、すっと引いてみたら、腕のほうは昔のとおりに動こうとするのに、手首がまったくついてこんかった。むかしは一日じゅう塗っても平気やったのに、いまは三回引いただけでもう熱をもってしもうた。五十年ちかく使った手首やけん文句は言えんし、壁は塗れんでも、鏝の重さだけはまだ手が忘れとらんごたる。それが嬉しかったばい。
妻が縁側から見ていて、「道具に、おこられんね」と一言だけ言った。返事はせんかった。まあ、よかたい。
昼から湿布をもう一枚足して横になり、起きれたのは三時すぎ。一日がみじかい。(笑)
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柄が手の形にへこむほど使い込まれた鏝、すごいです。自分の鏝はまだ柄がきれいなままなので、憧れます。