雨の朝は、手首がうずく
朝から霧雨だった。五時半に目がさめたら、左の手首がうずいとる。雨の前やしめった日はいかんたい、むかしから。
左官の手首は天気がわかる、と親方もよう言うとった。今日は鏝を持たんでも、湯のみを持つだけでじんとくるもんね。妻が湿布をはってくれて、腰にもはってくれたから、たしか三枚くらい使うたごたる。ぜんぶでいくらになるか妻は言わんし、わしも聞かん。
それがね、四十年も五十年も、壁にむかって手首をひねりつづけてきたもんで、いまになってその分の払いがまわってきとるのかと思うばい。ようできた壁を思い出せば、わるい話でもないが、朝いちばんの痛みはやっぱり痛いさい。
昼前に、霧雨のなかを少しだけ歩いた。カメラは持っていかん、重たくて手首が持たんけん。庭の柿の実が色づいてきとって、そろそろもげる頃になった。
夕方に風呂であたためたら、だいぶ楽になった。今夜は早く寝る。九時には、もうまぶたが重いもんね。まあ、よかたい。
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