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二本立ての二本目
土曜は店があるので、映画は昼のうちに観る。きょうは起きてすぐ、千鳥座の二本立てに行った。クリスマスイブだというのに、客席は十人もいなかった。
一本目は白黒の古い恋愛映画で、二本目は題名も知らない小さな映画だった。こういうとき、おもしろいのはたいてい二本目なんだよね。期待されていないものは、肩の力が抜けている。人も、たぶん同じかな。
ラストに近い場面で、女が駅のホームで男を待つ。来ない。女は何も言わずに、手袋を片方だけはめて、もう片方は握ったまま立っている。画面の外で汽笛が鳴って、手袋を握ったほうの手が、ほんのすこし揺れた。それだけの場面なのに、わたしは前の席の背中を見たまま、しばらく動けなかった。片方だけはめた手袋というのは、待つことをやめきれない人の、いちばん正直な姿なのだと思う。店のカウンターにも、ときどき座っている。
外に出たら、くもっていて、風が冷たかった。口寂しくて、ポケットの中で指が煙草の箱を探していた。もうないのに。
そういえば、前に一緒に通っていた人と、この二本立ての二本目を、よく取りあった。あの人は一本目が好きで、わたしは二本目が好きだった。いまは、どちらも、ひとりで観ている。
まあ、いいか。夜は店だ。クリスマスの夜にひとりで来る人のぶん、氷を多めに割っておこう。
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