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市民ブログ » 終電のあとで

よざくら

傘の骨

· カテゴリ: 日記・雑記

木曜の夜は小雨で、降るのか降らないのかはっきりしない雨だったから、店に向かう坂の途中で傘をさすかどうかちょっと迷って、迷っているうちに、肩だけが濡れた。

開店前に入口の傘立てを見るのは、もう癖なんだよね、たぶん。だれの傘がまだ残っているのかをなんとなく数えると、ビニール傘が三本と、黒い長いのが一本あって、黒いのは先週のお客さんのものなのだった。持ち主は取りにこない。取りにこない傘には、たいてい、取りにこられない理由がある。そういう気がする。

夜の八時すぎに入ってきた男の人は、濡れた傘をきちんと巻いて、ひもまで留めてから置いた。几帳面な人なんだな、と思ったけれど、グラスの汗を拭く指には白い輪の跡があって、傘のひもだけがやけに丁寧なのは、外した日の長さを傘で埋めているからかな、どうだろう。わたしはおしぼりを出しながら、ご用意のほうになります、と言ってしまって、自分で少し笑いそうになった(笑)。バイトの子みたいだ。三十六にもなって。

閉店後、ぬるい雨あがりの道を歩いていたら、街灯の下のゴミ置き場に、骨の折れた傘が一本、さかさまに立っていた。

黒い長い傘は、まだ傘立てにある。捨てるのも、なんだか違う気がして。まあ、いいか。もうすこし、ここで冷ましておこう。

夜雑記散歩

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