霧雨の堤防を、四十八分歩きました
昨夜は強い雨でしたので、今夜は少し間をおいてから、午前一時ごろに部屋を出ました。霧雨でございます。傘をさすほどでもなく、眼鏡のレンズだけが歩くうちに少しずつ白くなってまいります。最低気温は二十度ほどで、冷え性のわたくしでも薄手のカーディガン一枚で歩けましたが、堤防の草は昨日の雨をまだ抱えており、靴の先がしっとりと濡れました。
川の水かさは、ふだんより増えておりました。濁った水が音も立てずに流れていくのを、しばらく眺めておりました。ああいう水は嫌いではございません。汚いものが、黙って遠くへ運ばれていくのですもの。ふふ。
小さな神社の前で足を止め、賽銭箱に五円玉を一枚入れました。ご縁がありますように、ではなく、ご縁が切れますように、と願うのが、わたくしの流儀でございます。今日一日、あの課長のミントのタブレットを噛む音が耳の奥に残っておりまして、ひと粒噛むたびに、かりり、と鳴るのです。唾を飛ばしながら早口で他人のミスだけを数えるあの人に、今月だけで名指しで叱られたのが四回。わたくし、数えておりました。几帳面な性分ですので。
あの課長の接待ゴルフの伝票は、日付も金額も、すでに手帳へ写してございます。急ぐ理由は、ございません。年度末の監査の時期まで、ゆっくりと、順番に、育てていけばよいのです。
コンビニの外のベンチで、百三十円のお茶を飲んでから帰りました。所要時間は四十八分。腹の出たあの背中が、書類の山の下で青ざめる日を思い浮かべながら歩くと、湿った夜気さえ、少しだけ甘く感じられました。
コメント
関連する記事
- あの会社の求人欄が、三件に増えました(よなべ)
- 氷点下の堤防で、手袋の指先を一目ずつ数えました(よなべ)
- 毛糸を三玉並べて、贈り先を考えています(よなべ)
- 目覚ましをかけん夜(ぱんみみ)
- 靴下を片方、知らない部屋に置いてきた(まよなか)
| « 祖母の柿の話は、今夜で三度目でした | 差し戻し三回、ゴルフ三万八千四百円 » |
カテゴリ・タグ
| カテゴリ | 日記・雑記(175) 季節・行事(273) 趣味・おでかけ(695) 家族・子育て(628) 暮らし・家計(185) 仕事・学校(452) 動物・ペット(187) 体と健康(224) 世の中のできごと(18) 食・料理(182) |
|---|---|
| タグ | 雑記家族日常仕事母行事体調実家息子猫ごはん職場夫冬近所散歩育児長女夏秋節約日記日曜日失敗畑犬長男おでかけ休み休日 |