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おみき

百円の棚に、上巻だけ

· カテゴリ: 趣味・おでかけ

きょうは3限のあと、自転車で古本屋を三軒まわった。大学のまわりは古本屋が多くて、春から、すこしずつ地図に印をつけている(いまは九軒。たぶん、まだある)。夕方の風がすこしつめたくて、シャツ一枚だと、手がひえた。

いちばん長くいたのは、ささ舟堂。店の前に百円の棚があって、日に焼けた文庫と、函のとれた本が、ぎゅうぎゅうにさしてある。そのいちばん下の段で、昭和三十年代に出た、府内のある郡の神社をまとめた冊子を見つけた。ぺらぺらで、表紙の角がまるい。ひらくと、社名と祭神と例祭の日が、一社につき二、三行ずつ書いてあるだけなんだけど、合祀される前の小さな社の名前も、ちゃんとのっていた。

ぼんやり、祖父の記録帳と書き方が似てるなあ、と思った。神社名、祭神、日付、ひとこと。人は、だいたい同じ形で記録したくなるものなのかも。

レジのおじいさんは、表紙をちらっと見て、「それ、ずっと売れんかったんや」と言った。百円だった。

下宿にもどって、机でゆっくりひらいたら、背表紙に、ちいさく「上」と書いてあった。いちばん最初に手にとったときに、見ているはずの場所だった。郡の北半分しかのっていないみたい。下巻は、どこの棚にいるんだろう。まあいいか。九軒、ぜんぶの百円棚を、いちおうしゃがんで見ていくことにする。しばらくの、たのしみがひとつ増えた。

本神社

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