縁側で焼酎を呑む
朝六時に起きて、縁側の戸を開けた。庭と言うほどの庭じゃない。雑草が膝まで伸びとる。これを刈るのが、引っ越してからの俺の仕事たい。
三月で養育費が終わった。毎月、欠かさず振り込んだ。最後の一回を押して、画面を見とったが、何も湧いてこんかった。軽くなったのは財布だけたい。それでも家賃四万五千の借家に移って、壁の薄い部屋からは出られた。夜に縁側で麦焼酎のお湯割りを呑む。静かでいい。ふん。
ネットで「養育費も払えん男は人間のクズ」とか書き込む奴がおる。顔も名前も出さんボケがたい。毎月振り込んだことがあるのか。給料日に、残りの金で一か月どうやって食うか考えたことがあるのか。口だけの奴は、腹の底から軽い。他人の人生に口を出す前に、てめえの玄関の前を掃け。聞こえんのか。
昔の話ばい。二十代のころ、口先だけで凄んどった若いのを、事務所の裏に連れ出した。胸ぐらを掴んで、壁に二、三回、後頭部を打ちつけた。鈍か音がして、あいつは膝から崩れて、ズボンを濡らしとった。泣いて謝っとったばってん、こっちは何も感じんかった。ああいう奴が、いまはキーボードの前で偉そうにしとるんやろうな。
今日は現場で、重機の爪を木造の梁に噛ませた。壊すのは一瞬たい。人を壊すのも、本当は一瞬ばい。それを知らん奴ほど、軽く口を開く。
そのうち、あの顔の見えん連中が、目の前に出てくる日が来るんかもしれん。そのとき俺は、静かに笑ってやる。
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