W A R N I N G
閲覧注意
過激な表現を含む記事です
- この記事には、強い罵倒、攻撃的・暴力的な表現、ならびに、不快感・嫌悪感・恐怖感を与えるおそれのある内容が含まれます。
- 記事の内容は、投稿者個人の見解であり、当サービスの運営者の見解を示すものではありません。
- 精神的な不調を抱えておられる方、過去に強い心的外傷を負われた方、刺激的な表現に敏感な方は、閲覧をお控えください。
- 本記事の閲覧により生じた、いかなる不利益、損害についても、運営者は一切の責任を負いません。閲覧は、すべて閲覧者ご自身の判断と責任において行ってください。
- 18歳未満の方は、閲覧できません。
指輪の跡
霧雨の土曜日で、三連休の真ん中だったせいか、店はいつもよりゆっくりと埋まっていった。
奥のボックスに二人連れが座って、男のほうの左手の薬指には、外してからまだ日が浅いらしい白い輪の跡があった。跡のまわりだけ皮膚が少しやわらかそうに見えるのは、たぶん気のせいではないんだよね。女のほうはそれを見ないようにして、水割りの氷ばかり眺めていたけれど、見ないことでぜんぶ見ているような目だった。
嫉妬というのは声を荒げるものだと思っていたのに、ほんとうは、おしぼりをたたみ直す手つきにいちばん先に出る。三回たたんではほどいて、また三回たたむ。男が奥さんの話をしないぶんだけ女の指がよく働いて、グラスの汗がコースターの上で丸く広がっていくのを、わたしはカウンターの内側から、なんとなく眺めていた。
そういえば、わたしにも、帰る家のある指をした人を遠くから数えていた時期があった。あれは嫉妬というより算数に近くて、足したり引いたりしても、いつも答えが合わないのだった。自分の計算の下手さを人のせいにしないだけ、まだ増しかな。どうだろう。
終電の少し前に二人は別々に席を立ち、女は戸口で傘を忘れかけて戻ってきた。濡れた傘の先から水が一本、床に細く落ちていった。
お会計は男が先に済ませて、千円札を握る手が、すこしだけ熱かったような気がする。
コメント
関連する記事
- 傘の骨(よざくら)
- 預かるということ(よざくら)
- 雨あがりの朝、水草を間引いた(みずくさ)
- 小雨の火曜、里芋の皮(なぎ)
- 火曜の夜、雨あがりの中華そば(しほ)
| ちいさな手のひら » |
カテゴリ・タグ
| カテゴリ | 季節・行事(266) 動物・ペット(179) 日記・雑記(126) 仕事・学校(423) 趣味・おでかけ(651) 食・料理(181) 暮らし・家計(177) 体と健康(214) 家族・子育て(611) 世の中のできごと(14) |
|---|---|
| タグ | 家族雑記日常仕事母行事体調実家息子猫ごはん夫職場近所冬育児散歩長女夏節約秋日記日曜日失敗畑犬長男おでかけ休み休日 |