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市民ブログ » 夜ふけの毛糸玉

よなべ

倒産の二文字を、毎朝さがしております

· カテゴリ: 日記・雑記

今夜は小雨で、十一月とは思えないほど生ぬるい空気でございました。編みかけの靴下は、かかとの手前で止まっております。指先の荒れたところに毛糸が引っかかって、少し痛いのです。

わたくし、起きて一番最初に、あの会社の名前を検索いたします。辞めてから九百五十日ほど、一日も欠かさず。今日は豊多自動車が利益の見通しを引き上げたそうですけれど、上がどれほど潤っても、あの小さな商社まで滴は落ちてまいりません。経理の求人は、相変わらず一件。わたくしの後に入った方も、きっと半年もたなかったのでしょう。おかわいそうに。

潰れる朝のことを、何度も想像しております。シャッターに貼られた一枚の紙。あの課長が、薄い頭頂部に整髪料を塗りつける毎朝二十分を、もう誰のためにも使わなくてよくなる朝。退職金もなく、五十二歳の、夜間短大卒の、唾を飛ばすだけのクソ課長を、いったいどこが拾ってくださるのかしら。職安の硬い椅子で、ミントのタブレットを奥歯で砕きながら番号を待つ姿。その隣に、わたくし、座っていたいのでございます。

貯金は、百四十万円を切りそうです。あの会社より先に、わたくしのほうが潰れるのではと、夜中に胃が痛くなります。情けないこと。それでも検索はやめられません。

本当は、もっと見苦しいことを願っております。倒産の知らせを聞いたあの人が、駐車場で膝から崩れて、アスファルトに額を打ちつけるところ。鈍い音。鼻から血が垂れて、自慢のワイシャツの襟がじわじわ赤くなって、わたくしの名前を呼んで、足首にすがりつくところ。わたくしは手を貸しません。靴の先で、その太い指を、一本ずつ、ゆっくり踏みます。骨が鳴るまで。ふふ。

あの人たち雑記夜

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