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つぐみ

母の湯のみを、まだ洗っています

· カテゴリ: 家族・子育て

くもりの朝、六月の終わりにしては蒸して、窓をあけても風がぬるいままでした。庭の餌台には、スズメが三羽。水を替えてやると、すぐに降りてきます。

母が亡くなって、もうすぐ一年半になります。あおぞら苑の部屋を片づけた日のことは、いまも手ざわりで思い出せます。小さな湯のみが一つ、引き出しに残っていました。持ち帰って、洗って、食器棚のすみに置いたまま。使うでもなく、しまうでもなく、ときどき手に取って洗うのが、いつのまにか習慣になりました。洗うたびに、水がすこし冷たくて、ああ、今日も、と思います。

看取ったあとは、しんどい日が続きました。通っていた足が、ふっと行き先をなくして、週に二、三回の道を、車がひとりで曲がりそうになるのです。さて、いつまでこうなのかしら、と笑ってしまったこともあります。ふふ。夫のときとは違う、静かな空っぽでした。

今朝、長女から電話があって、孫が「ばあばの庭の鳥、また見たい」と言っていると聞きました。ほんま、ありがたい話です。母にも見せたかったなあ、と、受話器を置いてから、ぽつり。

湯のみに麦茶を注いで、母の席のほうへ置いてみました。

 梅雨曇 母の湯のみに 麦茶さす

母暮らし俳句

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