餌台に、ジョウビタキの雄
小雪がちらつく朝でした。庭の柿の木は葉をすっかり落として、枝だけが空に細く伸びています。
六時に起きて、餌台にひまわりの種を足し、水場の氷を割りました。お茶を持って窓辺に座っていると、柿の枝の先に、小さな影がとまりました。ジョウビタキの雄です。頭の銀色と、胸のだいだい色。翼の白い斑点が、うす暗い朝の中で、ぽつんと灯りのように見えました。
おや、と思って、老眼鏡を外して双眼鏡に持ちかえました。尾をふるふると震わせて、低い声で「ヒッ、ヒッ」と鳴きます。去年より少し遅いでしょうか。ひまわりの種には見向きもせず、しばらくして垣根の方へ移っていきました。虫を探しているのかしら。わたしは台所の窓を細く開けたまま、冷えた指をカイロであたためて、しばらく動けませんでした。
娘が家を出てから、朝の庭を見るのは夫とわたしだけになりました。夫は新聞から目を上げて「来たんか」とだけ言い、それでも少しのあいだ、庭を見ていました。そういうのが、うれしいのです。
ジョウビタキ 小雪の庭を 灯しけり
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