ひとりぶんの味噌汁は、むずかしい
朝、味噌汁を作った。雨が降っとって蒸し暑いが、汁ものがないと、どうも朝が始まらん。
妻がいたころは、いつも三人前か四人前の鍋で作っとったが、いまはわし一人だに。椀に二杯ぶんの水を鍋に入れて、煮干しの頭とはらわたを取ったものを浸けておく。これは前の晩のうちにやっておくもんだ。朝は火にかけて、沸く手前で煮干しを出し、豆腐は半丁の半分、ねぎは小口に切って入れる。味噌は最後に溶き入れて、煮立てん。ここを急ぐと、香りが飛んでいかん。
それでも、毎朝、量がうまく決まらん。多すぎて夜に回すと味が落ちるし、少ないと物足りない。昔はな、味噌を計るなんてことはせんかったが、いまは大さじで量っとる。一キロ入りの袋だと減るのが遅くて、いかん。まぁ、小さい袋に替えようかと思っとる。
サバが台所の入り口に座って、こっちをじっと見とる。味噌汁は猫にはやれんのだが、煮干しの頭をひとつもらえると思っとるらしい。ふふ、やらん。おはぎは、ピアノの部屋の隅から出てこんままだ。
椀を持って縁側に座ると、妻の湯のみが棚にまだある。味噌汁の味は妻のとは違うけれども、それでもだんだん、わしの味になってきたような気がする。
コメント
のみじい
待ち伏せは毎朝です。煮干しを出すたびに、こちらの手元を目で追っています。
待ち伏せは毎朝です。煮干しを出すたびに、こちらの手元を目で追っています。
いそべ
味噌を煮立てないのは、香りを残す基本ですね。前の晩から煮干しを水に浸けておくのも、丁寧なだしの取り方です。
味噌を煮立てないのは、香りを残す基本ですね。前の晩から煮干しを水に浸けておくのも、丁寧なだしの取り方です。
ぽろん
奥さまの湯のみが棚にあるのですね。毎朝作るうちに、だんだん「のみじいさんの味」になっていくのだと思います。
奥さまの湯のみが棚にあるのですね。毎朝作るうちに、だんだん「のみじいさんの味」になっていくのだと思います。
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台所の入り口でじっと待つサバちゃん、目に浮かびます。煮干しの頭、ほんとうは欲しいんでしょうね。