墨付けの線は、細いほどいい
水曜日でしたが、朝から霧雨で、外の作業は無理でした。この日は現場には出ず、作業小屋で、来週の造作に使う柱の墨付けをしていました。墨付けというのは、木に切る位置や穴をあける位置の線を引く作業のことです。
使うのは、竹でできた墨さしと、細い線が引ける筆のような道具です。墨さしの先は、竹を薄く削って細かく割ってあります。この割れ目に墨を含ませて、曲尺に当てて線を引きます。線の太さは、だいたい0.5mmほどです。
線が細いほどいい理由は、単純です。刻むときは、線のどちら側を削るかで、仕上がりが0.5mmずつ変わります。線が1mmあれば、その幅の中で迷います。昔、親方に「線は切り捨てるものじゃない、残すものだ」と言われました。線を半分残して刻めば、ぴったりおさまります。この意味がわかったのは、入社して5年はたってからだったと思います。
老眼鏡をかけて、同じ姿勢で2時間ほど引いていたら、腰が少し重くなりました。夕方、軽トラックで買い出しに行く途中、近所の北原神社の前を通りました。鳥居の脇の杉も、柱にしたらいい材料になりそうだと、つい見上げてしまいます。職業病です。
来週、この柱が組み上がる日が楽しみです。墨の線は、組み上がると見えなくなりますが、あの細い線が家を支えているのだと、毎回思います。
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