母の庭のきゅうり
月曜の夕方、仕事のあとで実家に寄った。霧雨がまだ残っていて、縁側に座ると空気がしゃっこい。
母は庭のきゅうりが、曲がったのばかり五本とれたと言って笑っていた。七十四になるが手はよく動く。おれが着いたときには、もうざるに並べて塩を振って、茶の間に漬物のにおいがしていた。
父が亡くなって、もうすぐ六年になる。一人で暮らしていると、ひとりごとが増えたと母は言う。夕方までテレビを点けっぱなしにして、音も大きくしているらしい。それを聞いても、おれは何も言えなくて、んだな、とだけ返した。
帰りに、漬けたきゅうりを袋に入れてもらった。持つとひんやりしている。家に帰って一本かじったら塩がきつかったども、うまかった。
次の日曜は、屋根の樋を見に行くつもりだ。ついでに庭の草も取るべ。まぁ、いいか。手を動かすしかない。
コメント
ほしぞら
お母さまの気持ち、少しわかります。「んだな」と返すだけでも、きっと伝わっていますよ。
お母さまの気持ち、少しわかります。「んだな」と返すだけでも、きっと伝わっていますよ。
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曲がってても味は変わらん。屋根の樋は、落ち葉が詰まってるのが多いぞ。