小雨の朝、蔵の奥の小さな猪口
今朝は小雨でした。店を開ける前に、蔵へ傘をさして行き、棚の奥にしまっていた木箱をひとつ出してみました。
中身は、染付の猪口が五つ。先月、知り合いの方から譲っていただいたものです。そのときは包みをほどいただけで、ゆっくり見る間がありませんでした。薄暗い蔵の窓辺で一つずつ手に取ると、絵付けは、どれも少しずつ違うようです。松、竹、小さな橋。筆の運びが、ひとつごとに揺れています。同じ手で描いたものか、違う人の手か。そう考えているうちに、
雨の音が、
そっと遠くなりました。
縁に小さな欠けがひとつ。釉薬の溜まりが、ほんのり青く沈んでいます。使うかどうかは、まだ決めていません。ただ、店の試飲の卓に、一つだけ置いてみましょうか、と思っているところです。お茶を注げば、染付の青がやわらかく見えるのでしょう。わたしなりの確信犯、というやつです(笑)。
昼前、上の孫が学校から戻ってきて、ランドセルを背負ったまま蔵をのぞきました。「それ、ちいさいね」と言うので、「おちょこ、というのよ」と教えました。
大人になったら、
お茶を入れてあげましょうね。
孫はうなずいて、また玄関へ走っていきました。あの背中…
いつのまにか、ずいぶん大きくなったものです。
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