ブリキの湯たんぽは、朝まで温かい
朝六時。居間の温度計は十一度。くもりで、外はまだ薄暗い。おとといまでの暖かさは、どこへ行ったのか。出勤前に、急いでこれを書いている。
昨日の夜、仕事から帰って、納屋の棚の奥で祖父の湯たんぽを見つけた。ブリキの、表が波型になっているやつ。……これは語らせてください。あの波型、飾りではないんですよ、これが。(薄い板でもへこまないための凸凹で、ついでに表面が広くなるから熱がゆっくり伝わる、という理屈らしい。祖父の本棚の、昭和の暮らしの本に書いてあった)。口金のパッキンだけは固くなっていたので、手持ちのゴム板を同じ形に切って交換。お湯を入れて、逆さにして三十分。漏れなし。一滴も。
タオルで包んで、祖母の布団の足元へ。今朝、起きてきた祖母いわく「朝まで足があったかかった」。触らせてもらったら、湯たんぽはまだ全然あったかい。残ったお湯で顔を洗うのが昔の冬の朝の習慣だったそうで、祖母は洗面器を出してきて、さっそくやりよった。八十七歳の手際。迷いがない。
古い道具は、使われてこそだと思っています(かなり本気で)。納屋に並べて眺めるのも好きではあるんですが、台所と布団の間を行き来しているほうが、ずっと似合うわけです。ちなみに、ごまも夜中に祖母の布団へもぐり込んで、湯たんぽの隣を陣取っていたらしい。抜け目のない十四歳。
……という話でした。わたしの布団には、何も入っていない。
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