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市民ブログ » 墨と古い器

ちどり

朝六時の廊下に、足音がふたつ

2022-09-30 · カテゴリ: 家族・子育て

母が転んで、もうすぐ四か月になります。朝は六時に起きて、店の準備をする前に、まず母の部屋をのぞきますね。歩行器の音がして、「おはよう」と小さな声。

目が細くなって、笑うと見えなくなるのは、昔から変わりません。

通所サービスの日は、迎えの車が来る前に着替えと薬を済ませます。水曜の定休日は、病院の付き添いと買い出しで、気づけば夕方でした。店は松尾さんに助けてもらい、長女は歯科医院のパートの合間に、母の昼の様子を見に来てくれます。長男は、夜の洗いものを黙って引き受けてくれるようになりました。これは、だれが決めたわけでもないのです。まあ、あの子たちの確信犯のような優しさ、というところでしょうか。

今日は帳場で、新茶の残りを合組しながら、ごまが座布団で寝ているのを眺めていました。昼休みに、母を連れて桜ヶ丘公園のベンチまで、車いすで行きました。風はまだほんのり生ぬるく、くもり空でしたが、母は「ええ気持ち」と言って、木の下でしばらく黙っていました。

しずかに、
母の横顔と、
葉のゆれる音ばかり…

墨をする時間は、ほとんどありません。それでも硯の水は、替えるようにしています。机の前に座れない日も、六畳間の戸は、そっと少しだけ開けておきます。

お店母家族

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