体位変換の演習で、わたしが「ベッド」になった
今日は祝日で大学の授業は休みなのだけど、先週の演習のことを忘れないうちに書いておきたくて、夜になってから机に向かっている。外は雪で、窓の向こうが静かなぶん、ストーブの音ばかりがやけに大きく聞こえる。
先週は体位変換の演習だった。二人一組になって、一人が利用者の役、もう一人が介助する側をやる。わたしは先に利用者の役を引き受けて、ベッドに横になって力を抜くように言われたのだけど、これが意外とむずかしい。力を抜こうと思えば思うほど肩に力が入ってしまうんだよね(たぶん、ここが一番おもしろい)。
そこで気づいたのは、介助される側には次に何が起きるのかが見えないということ。「右を向きますね」と声をかけてから動かしてもらうのと、黙っていきなり動かされるのとでは、体の固まり方がまるで違った。教科書には「声かけをする」と一行で書いてあるだけなのに、その一行の重さを、背中で初めて知った感じがする。
交代して介助する側に回ると、今度は冬で荒れている自分の手の甲が気になって、乾いたところが相手の寝間着にひっかかるたびに、動かす手が遠慮がちになってしまった。先生には「腰で持ち上げようとせず、足の位置で動くこと」と言われて、足を半歩ずらしただけで、持ち上げなくても体がすっと回ったのには驚いた。なるほどね、力ではなく順番なんだ。
帰り道の雪はしゃっこくて、手袋の中までしみてきた。実家で祖母を手伝っていたころ、わたしはあの声かけをちゃんとできていたかな、と思う。今度帰ったら、ムギの散歩のついでに、母にそれとなく聞いてみようかな。
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