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窓口の「規則ですので」を、十回聞いた
金曜に半休を取って、市役所の窓口へ行ってきた。母のグループホームの費用の件や。減免の相談。
出てきたのは、眼鏡を鼻にずらした中年の職員で、俺の書類をつまむように持って、「規則ですので」を十回言うた。数えとった。十回や。ほんで最後に、「ご家族で、できる範囲で」。ご立派なこっちゃ。できる範囲の底が、とうに抜けとるから来とるんやんけ。
手取り二十二万。家賃五万八千円。母の費用を毎月払うて、貯金は九十万を切りそうや。あのボケの給料は、俺らの払うた税金から出とる。それを忘れた顔で、ハンコ一個押すのに、三回も「持ち帰って確認します」を言う。あの手をカウンターの上でへし折ったら、どんな音がするやろ。乾いた枝か、濡れた割り箸か。そんなことばっかり考えて、帰りの自転車を漕いだ。
今日は朝から強い雨で、窓を叩く音がやかましい。缶の酎ハイを三本空けた。あいつの顔は消えん。ついでに、金のない俺自身も、消えてくれたらええのにと思う。母が俺の名前を忘れる前に、金が先に俺を忘れた。
あの職員が定年まで一回も困らんと逃げ切りますように。呪いや。祈りちゃう。呪いや。
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