マスクが買えない通学路
朝、家を出る前に母から言われた。「マスク、予備ないからね」。新型インフルエンザのせいで、近所のドラッグストアもスーパーも、棚が空っぽらしい。今ある1枚を、大事に使えということだ。
片道30分の自転車通学。信号待ちで周りを見ると、マスクをしている人が思ったより多い。自転車で、風を切りながらマスクをしている高校生もいる。呼吸が苦しそうで、そっちのほうが体に悪い気がする。人のことは言えない。おれも、坂の途中でしっかり息が上がった。
帰り道、通りかかったドラッグストアの前に、「マスク入荷なし」の紙が貼ってあった。ご丁寧に、手書きで太字。入荷なしを、ここまで堂々と主張する店も珍しい。でも、貼り紙の字がやけに必死で、ちょっと笑えなかった。
結局、今日は1日、マスクなしで過ごした。1枚を温存したのだ。何の温存なのかは、自分でもよく分からない。梅雨の湿気で、シャツが背中にはりつく帰り道。まあ、元気なのが一番ということにしておく。
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