赤い帽子と、霧雨の低い山
日曜日、友人と二人で、近くの低い山へ行ってきました。朝から霧雨で、見晴らしはあまり期待できませんでしたが、雨具を着て、いつもの赤い帽子をかぶって出かけました。
登り口の木々は、しっとりとぬれて、ところどころ葉が黄色くなりかけていました。足もとには、ぬれた落ち葉が少しずつ増えています。霧の中を歩くと、自分たちの足音と、葉に落ちる雨の音だけが聞こえて、ふだんより山が近く感じられました。ナナカマドの実が、白い景色の中で赤く浮かんでいて、思わず立ち止まって眺めました。
頂上では、景色は真っ白でした。それでも、持っていった温かいお茶を飲みながら、友人と「今日は、何も見えないのを見に来たようなものですね」と笑いました。ほかに人はおらず、静かなものでした。
帰りの道で、母の葬儀のあとしばらく山に来られなかったことを、ふと思い出しました。歩いていると、気持ちが少しずつほどけていくようでした。夕方、家に帰ると、ミケが玄関で待っていて、ぬれた靴のにおいを念入りに調べていました。
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