外来の廊下で、秋を教わりました
金曜日の外来は、朝からいつもより混んでいました。くもりで、窓の外は少し肌寒いくらい。上着を一枚多く着てきて、正解でした。
採血の順番を案内していると、毎週通っているおばあさんが、小さな紙袋を差し出してくれました。中身は、畑でとれたという小ぶりのりんごです。「看護師さんに、おすそ分け」と笑うので、勤務中なので気持ちだけいただきますと伝えると、「じゃあ、帰りにね」と、椅子に座って待っていてくださいました。結局、昼休みに受付の横で、同僚と二つに割って、ひと切れずつ食べました。酸味が強くて、甘さはあとから来る、秋のりんごの味でした。
待合室では、テレビのニュースが、関東や東北の大雨の被害を伝えていました。川があふれた町の映像を、患者さんたちが黙って見上げています。「遠いけど、人ごとじゃないねえ」と話す声が聞こえて、私も手を止めて、しばらく見ていました。親戚の家がそちらにあるという方もいて、診察を待つあいだの顔が、いつもより少し硬く見えました。
帰り道、朝日ヶ丘神社の前を通ると、銀杏の葉がまだ緑のまま、風に揺れていました。色づくのは、もう少し先のようです。外来で毎日いろいろな方の顔を見ていると、季節の変わり目は、窓の外より先に、患者さんの上着の厚さで知るのだなあと、そんなことを考えながら歩きました。
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