三階席から見た、あの壁
来月、また歌舞伎を観に行く。切符はもう取った。三階席。ここがよかさい。
妻と二人で、特急に乗る。二時間ほど座っとるだけで、腰にくる。むかしは平気やったのに、いかんなあ。駅で腰をのばしてから行くことにしとる。
それがね、三階から舞台を見下ろすと、大道具の塀や壁がようわかるばい。ただ黒いだけに見えて、よう見ると塗りむらの風合いまで出してあって、あれは絵師さんの仕事やろうけど、わしはつい左官の目で見てしまう。土壁なら、こてをどう返したか、どこで手を止めたか、手がおぼえとる。役者そっちのけで、壁ばかり見とる日もある。妻にはあきれられる(笑)
去年の席は、花道が少し見えにくかった。今年はそこに気をつけて取った。値段は、前より高うなっとる。交通費と宿をいれて七万円ほど。ぜいたくはせん。ただ、これだけは毎年の楽しみにしとる。
今朝は雨がぱらついて、庭の柿の葉が濡れとった。出かける日は晴れてほしい。カメラは持たん。劇場の中は撮れん。目でおぼえて帰る。まあ、よかたい。
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