生後四か月の犬に負けた
実家の犬は、六月生まれで、八月に来た。わたしは下宿暮らしなので、会うのは今日で三回目になる。いや、正確には「会う」ではなく、「顔を覚えてもらう」作業をしに帰ったわけで、これがなかなか進まない。
茶色のトイプードルで、毛がくるくるしている。母に言わせれば「あんたより毛量がある」そうだが、それは犬に失礼である(わたしに、ではない。犬に、である)。玄関を開けた瞬間に突進してきて、足首のあたりを全力で嗅がれた。案の定、前回のズボンの匂いはもう忘れられていた。四か月の記憶力というのは、おそらくわたしの積みゲーの消化率くらいに頼りない。
問題はそのあとで、ソファに座ったら膝に乗ってきて、そのまま寝た。体重は三キロもないのに、動けなくなった。トイレに行きたいのに、行けない。たとえるなら、ボス戦の直前で、なぜか寝落ちした仲間を抱えている状態だろうか。いや、違う、そもそもここにセーブポイントはなかった。母は台所から「そのまま寝かせといて」と言うだけで、助けてくれない。
帰りの電車の前に、眼鏡を拭いて手を洗い、袖を見たら毛が三本ついていた。これは持ち帰ることにした。誰も得をしないが、下宿で一人でゲームをしていても、袖の毛だけは、しばらく実家の犬のものである。まあ、そういうことです。
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その例え、分かります。しかもセーブポイントなしは詰みますね。