靴箱の下段が、やけに広い
月曜の昼前、バイトのシフトが空いたので、日帰りで実家に寄ってきました。外は朝から強い雨で、電車の窓はずっと曇っていて、おまけに眼鏡まで曇るものだから、駅から家までの道はほとんど手探りだったわけで。いいことが一つもない。
家に着いてまず気づいたのは、玄関の靴の数がはっきり減っていたことです。姉が短大を出て保育士になり、わたしも家を出たので、靴箱の下段だけがやけに広くなっていて、母は「掃除が楽になった」と言うけれど、その横顔はあまり楽そうではなかった。要するに、子どもが二人とも出ていった家というのは、静かすぎて、静かな分だけ冷蔵庫の音が大きく聞こえるものなのだ。(冷蔵庫のせいにしておく)
居間の共用パソコンは、まだ同じ場所にあった。中学のころはここでブログを書いていたのに、今は父が天気予報を見るだけの機械になっているらしく、節電のせいで画面もやたらと暗い。父は「これで十分見える」と言うけれど、見えてはいるのだろうが、もう少し明るくてもいいのではないか。わたしの目が悪いだけか。
一階奥の和室をのぞくと、祖母は小さな座布団に座ったまま、膝に毛玉の入った籠を置いてうとうとしていて、起こすのも気がひけたので、そのまま襖をそっと閉めた。たとえるなら、セーブしてから放置されたゲーム画面のようなもので、再開するかどうかはプレイヤーの気分次第である。
帰りがけ、母が「また来な」と言いながら袋に何かを詰めはじめたので丁重にお断りしたところ、案の定、半分は詰められた。重い。傘を持つ手が痛い。仕送り五万円の身には、ありがたい重さではある。
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