チラシの箱が、また増えている
今日は朝から小雨で、帰ってくると家の中に湿った空気がこもっていた。居間を通って二階に上がる途中、一階奥の和室をのぞくと、祖母がこたつに入って折り込みチラシを折っていた。七十一歳である。老眼鏡を鼻の先にずらして、手元だけを見ている。こちらが通っても、顔を上げない。
いちおう声はかけた。「ただいま」と言うと、「おかえり」と返ってきた。ただし目は紙の角のままである。要するに、わたしの帰宅より、角を揃えることのほうが優先順位が高い。誰も得をしない順位づけではあるが、祖母の中では、たぶん揺るがない。
こたつの横には、できあがった箱が三つ並んでいた。みかんの皮やら、魚の骨やらを入れる、台所用のごみ箱である。何枚折るつもりかと聞くと、「さあ、チラシが来るうちは折る」という答えだった。計画なしで続けられる人である。わたしは新しいゲームを始める前に攻略の目次を先に読むタイプなので、これは理解できない。理解できないが、あの箱はたしかに便利で、台所に置いてあるぶん毎日使っているわけで、負けた気分になる。
眼鏡をかけ始めたわたしを見て、祖母は先週「目、悪くなったね」とだけ言った。それ以上は何もなかった。でも昨日、洗面所の棚に、古いタオルを切って縫った小さな眼鏡拭きが置いてあった。黒縁にちょうどいい大きさである。使っている。ちょうどいい、というのが腹立たしいくらいだ。
二階に上がって、わたしはまた画面の前で目を酷使している。祖母は目を使って、わたしの目を気づかう。使い方の差が大きすぎる(笑)。
コメント
関連する記事
- お彼岸の中日、母の畑で芋をもらった(あかね)
- お彼岸のあとの畑、母の里芋の葉が傘だった(あかね)
- 祖母の縁側で、みかんの芽の話を聞きました(ひくやま)
- 映画館のポップコーンは、なぜあの塩加減なのか(あさみ)
- レジで聞かれた「ポイントカードは」を、10回数えました(あかね)
| « ススキを取りに行く役が回ってきた | スーツの先輩とレジの前 » |
カテゴリ・タグ
| カテゴリ | 体と健康(204) 趣味・おでかけ(610) 仕事・学校(394) 暮らし・家計(168) 動物・ペット(159) 家族・子育て(578) 食・料理(170) 季節・行事(245) 日記・雑記(104) 世の中のできごと(13) |
|---|---|
| タグ | 家族日常雑記仕事母行事体調実家息子ごはん夫職場猫近所冬育児散歩夏長女節約秋失敗日曜日長男畑おでかけ休み犬休日日記 |