申し送りは、三行で足りることもある
月曜の日勤で、朝のミーティングの申し送りを聞きながら、話の長さについてふと考えていた。
前の職場のユニットでは、夜勤から日勤への申し送りを、メモを見ながら一人ずつ順番に読んでいく決まりだった。十人分の食事量や排泄、眠れたかどうか、表情まで、どれも大事なことではあるんだけど、全部を同じ重さで話してしまうと、聞く側は肝心なところを取りこぼす。たぶんこれは書く側の癖で、抜けるのが怖いからつい足してしまうんだと思う。わたしも新人のころは、メモが二ページ分になっていた。
今日、先輩が話したのは、ほぼ三行だった。「いつもと違うのは昨夜の食欲で、朝は半分。水分はとれてる」、それだけ。残りは記録に書いてあるから見ればわかる、という理屈らしくて、なるほどね、と思った。話すのは差分だけでよくて、いつも通りのことは記録が支えてくれる。ただ、その「いつも」を知っている人でないと差分は見つけられないので、実はそこが一番むずかしい(たぶん、三行の裏に何年分もの観察がある)。
帰りは雲が厚くて、風が少ししゃっこかった。夕方の散歩で、クロが電柱のにおいを一本ずつ確認し終えるのを待ちながら、わたしの一日の申し送りも三行にしてみた。「よく歩いた。拾い食いは未遂。寝る前におやつを催促」。三行で足りたけど、まあ、犬の話はいくらでも長くなるんだよね。
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