雪の日のムギの足
朝から雪だった。最高気温も1度にならない日で、庭の梅の枝に、うっすら白くつもっていた。
ムギは、今年で10歳になる。足先の白いところが、雪にまぎれて見えなくなる。朝の散歩は母が連れていく日だが、今朝は雪なので、玄関先を少し歩いただけで戻ってきた。
前は、雪を見ると走りまわる犬だった。今日は、庭に出て、においをかいで、そのまま立っていた。わたしが「行くか」と声をかけても、すぐには動かない。耳が少し遠くなったのかな、と思う。ラジオの音には、まだ反応する。
階段を上がるのも、ゆっくりになった。2階の私の部屋まで来ていたのが、最近は、廊下の途中で座りこむ。父が家に戻ってからは、父の部屋の前で寝ていることが多い。杖の音がすると、顔だけ上げる。父もムギの頭に、こわばった左手をのせようとして、のせられずにいた。わたしが手をそえた。
まあ、お互いぼちぼち年をとっている。夕方の散歩は、わたしの番だった。雪の上を、ムギの歩幅にあわせて歩いた。
雪の夜ムギの寝息の遠くなる
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