迎えの車を待つ父
海の日だったが、今日は父のデイサービスの日で、わたしは休みだったので送り出しを手伝った。
朝六時すぎに起きて熱い番茶をいれると、霧雨がふっていて窓の外が白かった。父は七時前にはもう起きていて、居間で杖をそばに置いて座っていた。着替えは左手がこわばるので、ボタンだけわたしが手を貸す。父は黙って、されるままである。
連絡帳に体温と血圧を書いて、母が玄関に出しておいてくれたタオルと着替えの袋をたしかめた。これはいつもの段取りだ。母は「んだな、傘はいらねぇべ」と言いながら、玄関の戸をあけていた。
迎えの車は八時半ごろに来るので、それまで父と玄関の椅子に並んで待った。会話はあまりない。父が「雨、あがるか」と言ったので、わたしは「昼にはあがるべな」と答えた。それだけだった。
車が着くと職員さんが声をかけてくれて、父は杖をついてゆっくり乗り込んだ。振り返りはしなかった。わたしも仕事で人を迎える側なので、待たれる側の気持ちも、待つ側の気持ちも、少しは分かる。
車が見えなくなっても、しばらく玄関にいた。
霧雨や杖の音のゆっくりと
コメント
関連する記事
- 杖の音が、少し揃ってきました(ふみお)
- 二年たって、墓参りに行ってきたよ(まめぞう)
- 母のデイサービスの連絡帳(こうさん)
- 息子が初めて立った日のこと、ふと思い出した(あかね)
- 九回裏、ラジオの前の父を思い出す(くみ)
| « 雪の日のムギの足 | 父の手袋、母の湯たんぽ » |
カテゴリ・タグ
| カテゴリ | 家族・子育て(558) 食・料理(157) 季節・行事(232) 動物・ペット(146) 趣味・おでかけ(567) 体と健康(191) 日記・雑記(101) 仕事・学校(370) 暮らし・家計(160) 世の中のできごと(13) |
|---|---|
| タグ | 家族日常雑記仕事母行事体調実家息子ごはん夫職場近所冬猫育児散歩夏長女節約秋日曜日失敗長男畑おでかけ休み休日犬日記 |