向かいの席の女子高生が、ずっと単語帳を逆さに持っていた
朝の電車、向かいの席に女子高生。単語帳を開いている。よく見ると、逆さまだった。
最初は、こっちの見間違いかと思った。違った。ページをめくる指も、真剣そのもの。たぶん、本人だけが気づいていない。教えるべきか、三駅ぶん悩んだ。結局、何もしなかった。見知らぬ人に「それ逆です」と言う度胸は、持ち合わせていない。
途中で、本人が気づいた。一瞬固まって、何食わぬ顔でくるりと回した。あの切り替えの速さは、見習いたい。こっちは、バイトで生徒に間違いを指摘するだけで、毎回ちょっと気を遣う。
二月に入って、車内にはマスクと参考書が増えた。受験の季節。去年の自分も、あの中の一人だった。今年は、その横で眠い目をこすっているだけ。気楽といえば気楽で、少し申し訳ない気もする。
降りるとき、彼女の単語帳は、ちゃんと正しい向きだった。まあ、よかった。
コメント
ことり
三駅ぶんも悩むところに、しゅんさんのやさしさが出ていますね。本人が自分で気づけてよかったです。
三駅ぶんも悩むところに、しゅんさんのやさしさが出ていますね。本人が自分で気づけてよかったです。
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何食わぬ顔でくるりは強いw 俺だったら一回固まって降りるまで気まずいわー