のぼり旗の立たない参道
今朝は6時すぎに、自転車で町の氏神さまへ行った。空は雲ひとつない快晴だったけど、空気はまだ冷たくて、手袋をしてくればよかったと、ぼんやり後悔した。
いつもなら、この時期は参道にのぼり旗が並んで、春の例祭の準備が始まるころなんだけど、今年は一本も立っていなかった。社務所の前に貼り紙が一枚だけあって、「本年の春季例大祭は神事のみ執り行います。神輿渡御、子ども神輿、露店は中止いたします」と書いてあった。字がきれいだったので、宮司さんの字なのかも。手水舎は柄杓が片付けられて水も止まり、代わりに消毒液の容器がひとつ置いてあった。手を清めるという意味では、たぶん間違ってはいない。
祖父の記録帳を見ると、この社の例祭には3回行っている(2016年、2017年、2019年)。2017年の欄には「神輿、雨で軒下に避難。担ぎ手も避難」とだけある。今年は祖父には家にいてもらっているので、ぼくのノートにだけ「神事のみ」と書いたら、それだけで一行が埋まってしまった。
ところで、神事のみというのは、いちばん最初の形に戻った、ということなのかも。祭りはもともと神さまを祀ることで、見物人や屋台は後からついてきたもの、という話がある(柳田国男が「祭」と「祭礼」を分けて書いていた。うろおぼえ)。だから神さまのほうは、たぶんあまり困っていなくて、困っているのは、わたあめを楽しみにしていた妹くらいだ。
帰りに鳥居の前で一礼したら、境内を掃いていたおじいさんに「おはよう」と言われたので、マスク越しに「おはようございます」と返した。声が小さすぎて、たぶん届いていない。まあいいか。
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