母の携帯に、夫が文字を大きくした日
先週の日曜、母が家に来ました。手には、画面を割らないようにと貼ってあるフィルムの端が浮いた、スマホです。「最近、字が見づらくて」と言うので、夫が設定を開いて、文字を大きくしました。
母は73歳で、父を亡くしてから三年半ほど、同じ市内の実家でひとり暮らしをしています。週に2〜3回は、孫の様子を見にうちへ来ますが、それ以外の日の様子は、実はあまり知りません。LINEは使えるのですが、返事はたいてい、スタンプが一つだけです。元気なのだろうと思う一方で、文字が読みにくくなっていたことには、言われるまで気づきませんでした。
夫は、文字の大きさのほかに、画面の明るさと、通知の音も調整していました。母は「そんなところに、あるのねえ」と画面をのぞきこみ、設定のやり方をメモ用紙に書き写していました。背筋を伸ばして、鉛筆で一行ずつ書く様子は、昔から変わりません。長男が横から「ばあば、字、でっかくなったね」と言うと、母は笑って、拡大した画面を、むぎとふくに見せていました。むぎは15歳になり、膝の上で長く眠るようになりました。母が来ると、決まってその膝を選びます。
帰り際に、月に一度、スマホの使い方を一緒に確認する日を作ろうと提案しました。母は「そんなに手間をかけなくても」と言いましたが、断りはしませんでした。課長になってから、平日は時間に余裕がありません。それでも、日曜の夕方の三十分なら、続けられそうです。まずは来月の第一日曜を、手帳に書いておきました。
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