母の煮物と、私の買ってきた惣菜
仕事帰りに母の家へ寄って、夕飯を一緒に食べました。父が亡くなって三か月になります。母はひとり暮らしになってから、おかずを少しだけ作るようになったそうで、この日の食卓には、里芋と鶏肉の煮物が小鉢に一つだけ並んでいました。
私は近所のスーパーで、唐揚げと春巻きの惣菜を買って持っていきました。母は「こんなに食べられない」と言いつつ、唐揚げを二つ食べました。鶏肉は100gで136円ほどの時期ですが、揚げ物になると値段が倍近くになります。そんな計算をしてしまうのは、もう癖です。
煮物は、昔から醤油の味が濃いめです。父は何も言わずに食べる人でしたが、おかわりをするときだけ、黙って茶碗を差し出していました。この日、私が同じように黙って茶碗を出すと、母は少し笑って、ご飯をよそってくれました。
帰り際、残った煮物を容器に詰めてもらいました。家に着くと、猫のふくが容器の匂いを嗅ぎに来て、顔を突っ込もうとします。鶏肉はあげられないよ、と言い聞かせても、丸い顔でじっと見上げてくるので、結局、容器ごと高い棚の上に避難させました。むぎは遠くから、様子をうかがっているだけでした。
明日の朝は、この煮物を夫と子どもたちのお弁当に少し入れるつもりです。母の味を、子どもたちの舌にも残したいと思っています。
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