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みっちゃん

父の工具箱を、そっと開けて

· カテゴリ: 家族・子育て

父が亡くなって、八か月がたちました。雨の金曜日、仕事から帰って、玄関の物入れにあった父の工具箱を、ようやく開けてみたんですよ。

さて、段取りです。まず古新聞を広げて、中身をぜんぶ出して、ひとつずつ拭いていくことにしました。ドライバー、ペンチ、使い込んだ金づち。どれも柄に、うすく油がしみています。ひとつだけ、柄の端に、小さく「カ」と彫ってあるものがあって。工場で、ほかの人のものと間違えないように、でしょうか。無口な人でしたから、こういう道具のことも、ほとんど聞かないままでした。

底の方から、すり減った鉛筆と、折りたたんだ軍手が出てきました。

 軍手の指先
 父の指のかたちに
 まだ、へこんでいる…

しばらく、手が止まってしまいました。

さて、と。一所懸命、拭かないと終わりません。母が居間から「お茶にしましょうか」と呼ぶので、きょうはここまで。道具は、まだ捨てません。来週、柿の木神社へ、古いお札を納めに行くので、そのとき、父がよく通った道を、ゆっくり歩いてみるつもりです。

父思い出

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