ばあちゃんの麦わら帽子
仕事のあとにスーパーに寄ったら、入口のところに花や野菜の種が並んでいました。まだ寒いのに、もう春の売り場やの。
種の袋を見ていたら、ばあちゃんのことを思い出しました。亡くなって、一年と少しがたちます。実家の庭の隅に小さな菜園があって、ばあちゃんはそこで、トマトときゅうりとネギを育てていました。いつも麦わら帽子で、手は少し土の色でした。
ぼくは小さいころ、よく収穫についていきました。トマトは、ヘタのところが緑のうちは取ったらあかんの、と言われたのをおぼえています。ぼくが赤いのを一個もぐと、ばあちゃんは「ほやの、それや」と笑っていました。ぬるくて、青くさくて、甘かったです。
この前、実家に行ったとき、庭の隅を見たら、そこだけ土が黒くて、ちょっとだけ何かの芽が出ていました。母に聞いたら、ネギの残りやざ、と言っていました。ばあちゃんの麦わら帽子は、まだ玄関の棚の上にありました。
ほやさけ、今度の週末は、実家に寄って、あの帽子をもう一度ゆっくり見てきます。
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