主任の机に、付箋が三枚
秋分の日の今日は、園の仕事は休みでしたが、前の金曜に机へ貼った付箋のことが、朝から頭の隅に居座っていました。三枚あって、一枚目は来月の避難訓練の段取り、二枚目は職員の面談の日程、三枚目には自分の字で「あの件、返事」とだけ書いてあります。何の件だったのか、金曜の私はもう少し親切に書いておくべきでした。
主任になって二年半ほどになりますが、担任をしていたころは、折り紙が折れた、靴が自分で履けたというふうに、一日の終わりにその日の成果が目に見えたものです。いまの仕事は手触りがまるで違っていて、誰かが困る前に静かに段取りを整えておくのが役目であり、うまくいった日は何も起きない日になります。何も起きなかったことは誰にも気づかれないので、そこがいちばん難しいところなのかもしれません。
夕方、台所で句帳を開く前にお茶を淹れていて、ふと付箋の件を思い出しました。保護者への返事ではなく、新しく入った職員のシフトの希望を聞き返す件でした。月曜の朝に声をかければ済む話ですから、三枚目の付箋は、頭の中でだけ剥がしておきました。
貼ったまま忘れると背中をつついてくる付箋も、思い出してしまえば急に軽くなります。置き場所ひとつで表情の変わるところは、季語とよく似ていますね。
付箋剥ぐ指に秋風ひとつ来て
句としては、まだ据わりが悪いままです。今夜の収穫は、三枚目の正体がわかったことでした。
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