描き文字の講義、気づけば四十分
朝、窓を開けたらひやっとしました。くもりで、空が白っぽい。立冬らしいですね。ムギも散歩の途中で、ちょっと丸まっとりました。
帰ってきたら、長女が台所のテーブルで画用紙を広げよったんです。美術部で、マンガっぽいイラストを一枚描くことになったらしくて。「効果音の文字って、どうやって描くん」と聞かれまして。
あー、それね。ちょっと語らせて。描き文字って、ただの文字やないんよね。「ドン」なら線の太さで重さが出るし、「ざわ…」なら、かすれ方で空気が出る。わたしが大学のマンガ研究会におったころ、先輩に「文字も絵やけん、背景と同じだけ悩め」と言われて、そこから好きな作家さんの単行本を、文字だけ見て読み返したんです(ストーリーそっちのけ)。かき文字は、コマの外にちょっとはみ出すくらいがええとか、擬音の最後の一画は、動きの方向に流すとか。気づいたら、手元の裏紙に「ゴゴゴ」を五種類描いて見せとりました。
時計を見たら、四十分。長女は、途中からメモをとってくれよったけど、最後は「お母さん、もうええよ」と笑っとりました(語りすぎました)。夫はソファで、黙って聞きながら、コーヒーをもう一杯いれてくれました。
お昼すぎ、長女の画用紙をのぞいたら、端っこに小さく「ドン」と描いてあって、ちゃんと太かった。尊い…。えらい親ばかですけど、今日いちばんうれしかったのは、それでした。
とりあえず、そんな一日でした。
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