母の声が、ちょっと近かった
夕方、霧雨の中を自転車で帰ってきたところに、実家から電話がありました。母からです。濡れた上着を椅子にかけて、スマホを耳に当てたまま、ゆっくり座りました。
だいたい、いつも同じ話をします。ごはんは食べているか、ちゃんと眠れているか、弁当店の仕事には慣れたか、という感じです。ぼくは「食べてるよ」「慣れてきたよ」と答えるだけなんですよね。それでも、母は少し安心した声になるので、まぁ、それでいいのかなと思っています。
途中で、祖母が電話に代わりました。耳が少し遠いせいで声が大きくて、「お茶は飲んでるね」と言われて、ちょっと笑ってしまいました。紅茶ですと答えたら、「同じようなものさ」と返ってきます。たぶん、そうなんだと思います。
妹の話も聞きました。学校から帰ると、すぐ猫を抱えて離さないそうです。ちゃまは2歳になって、前よりよく甘えるようになったとか。会いたいですね。連休のうちに帰ろうか迷ったのですが、バスの乗り継ぎが長いので、今回は見送りました。
電話を切ったあとの部屋は、思ったより静かでした。ポットにお湯を注いでアッサムを淹れて、砂時計の砂が落ちるのを見ながら、母の声を思い出していました。まぁ、そんな日です。
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