勲章が三千八百六十一個、俺にはゼロ個
祝日やろうが、倉庫は止まらん。
文化の日に段ボールを積む文化。ご立派なこっちゃ。
帰って酎ハイ三本目で、秋の叙勲の受章者が三千八百六十一人やと知った。そんなに偉い奴がおるんか、この国。
そいつら全員、うちの倉庫の棚の前に一日立たせたれ。ハンディをピーピー鳴らして、腰いわして、昼メシは十五分で流し込め。時給千五百八十円の文化を、勲章の裏に彫って帰れ、ボケ。
(勲章て、質に入れたらなんぼになるんやろ)
ほんで四本目で、親戚の番や。
親父の葬式で「康ちゃんもええ歳やのに、まだ派遣か」て言うた連中。工場が潰れたときは電話一本よこさんかったくせに、焼香の列だけは前のほうに並びよった。香典袋の厚みで人間の値打ち測っとるカスどもや。お前らの墓に先に入ったら、骨で蹴り出したるからな。
五本目で、誰もおらん部屋に向かって「おかん、ええ加減に俺の顔くらい覚えとけや」て怒鳴っとった。
言うたあとで、喉が焼けた。酒のせいやない。
日曜、あの人は俺を親父の名前で呼ぶ。「どちらさん」よりはマシやと、ほっとしとる自分がおる。母親に忘れられて、親父の代わりで満足しとる四十九のおっさん。勲章どころか、ゴミの日にも出されへん。
世間も親戚も勲章も、まとめて燃えてまえ。
どうせ燃え残るのは、俺みたいな湿ったゴミだけや。
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