むぎの首輪を、まだしまえずにいます
朝から小雨でした。寺の用事もない日曜日で、窓の外をしばらく眺めていました。この時間なら、むぎと堤防まで歩いていたなあと、つい思ってしまいますね。
むぎが亡くなって、二か月ちょっとになります。玄関の靴箱の上には、赤い首輪とリードが、まだそのまま掛けてあります。母は何も言いませんが、掃除のときも、そこだけは避けて拭いてくれよるんです。仕舞ったほうがええのか、このままでええのか、私もまだ決められずにいます。
思い出すのは、父が子犬のむぎを連れてきた日のことです。段ボール箱の中で、茶色の小さいのが、ずいぶん不満そうな顔をしていました(笑)。それから十四年、朝夕の散歩に付き合ってくれたんですね。霜の降りた草の匂いを熱心に調べるのも、八幡さまの前で必ず一度立ち止まるのも、むぎの決まりごとでした。晩年は口のまわりが白くなって、歩くのもゆっくりでしたが、堤防に出ると巻いた尻尾がちゃんと上がるんです。
今夜は、母が寝てからこれを書いています。夕方、普段の散歩の時間に、一人で八幡さままで行ってきました。立ち止まる場所で、私も一度立ち止まりました。ありがたいことです、そう思える日が、少しずつ増えていくのでしょうね。ぼちぼちやっていきます。
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