ごまの首輪を、まだ捨てられない
二月にごまが亡くなってから、二か月半になります。実家の庭の小屋は、まだそのままだそうです。母が先週の電話で言っていました。
ぼくが小学校に上がる前の年に、近所からもらってきた犬で、茶色の雑種です。耳が立っていて、尻尾が巻いていて、柴犬に似ていると言われるたびに、父が「似てるんじゃなくて、ほぼそう」と返していたのが地味に面白かったんですよね。十三年、いました。
一番よく覚えているのは、夜のことです。高校のころ、ぼくは夜型で、二階の机でプラモを削っていると、ごまが階段をゆっくり上がってきて、足元で丸くなる。削りかすが毛につくから、あとで母に怒られるのはぼくでした。専門学校で家を出てからも、帰省すると、玄関で先に尻尾を振るのはごまのほうで、家族より早く迎えてくれた気がします。まあ、これはぼくの思い込みかもしれません。
下宿の机の引き出しに、古い首輪が一本入っています。去年の夏に帰ったとき、新しいのに替えたあとの古いほうを、なんとなくもらってきたものです。革が固くなって、ほんのり犬のにおいが残っている。捨てる理由はないし、持っている理由も、うまく説明できないんだよね。今日は倉庫の帰りに、ふと引き出しを開けて、閉めました。
そのうち、ごまを写した写真をまとめてここに載せるかもしれません。今日は、とりあえずこれだけ。
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