13歳の夏、はじめての離陸
春休みに入って、去年の夏の沖縄旅行の写真を見返していました。家族みんなで行った、はじめての飛行機の旅です。
空港には、ふだん展望デッキに通っているのに、搭乗口から入るのは初めてでした。窓側の席に座らせてもらい、ベルトを締めたとき、手のひらが少し汗ばんでいました。父は通路側で、いつもと同じ顔をして腕を組んでいましたが、離陸のとき、ちらっと窓の外をのぞいたのを覚えています。
滑走路を走り出すと、背中が座席に押しつけられる感じがして、ふっと地面が離れました。何度も外から見ていた、あの瞬間の中に、自分がいる。畑も家も、見る間に小さくなって、雲の上に出ました。デッキから見上げていた雲を、上から見下ろしている不思議さは、今でもうまく言葉にできません。
妹は、耳が痛いと言って、母にあめをもらっていました。祖母は、ずっと手を合わせていたようで、着陸してから「生きた心地がしなかった」と笑っていました。
あの日から、飛行機を見る目が少し変わった気がします。外から眺めるだけだったものに、中の景色が重なるようになりました。今日は曇りでしたが、夕方、庭に出て、着陸していく機体をしばらく目で追っていました。次はどこへ行けるでしょうか。
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