お彼岸の朝、ペダルが軽かった
火曜日だが、祝日で休みだった。秋分の日。会社の暦も、こういうところは素直でいい。
朝七時に起きて、部屋の中のロードバイクを外に出した。この前までは、走り出して五分で汗が噴き出していた。今朝は違った。空気が乾いていて、日陰に入ると少し寒い。暑さ寒さの境目を、ちゃんと越えたらしい。
三十キロだけ走って、帰りに近所の小峰社の前を通った。彼岸花が、石段の脇に固まって咲いていた。赤い。毎年同じ時期に、よく間違えずに咲くものだ。こっちは先週の締切を、二回間違えたのに。
昼は実家に寄った。母が、おはぎを作って待っていた。去年も食べたが、味は去年と同じだった。褒め言葉のつもりで、そう言った。母は微妙な顔をした。
父は再雇用の仕事で、今日も出ていたらしい。祝日でも、止められないラインがあるのだと言う。分かる。こっちの仕事の話をしているようで、少し耳が痛かった。
帰りは追い風だった。ペダルが軽い。たぶん、今年いちばん走りやすい日だった。明日からまた、普通の火曜日じゃない水曜日が来る。早く寝る。
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