各駅停車の最後尾にいる人
高校に入って二か月になる。朝の電車は、案の定、毎日ほぼ同じ顔ぶれで、誰も約束していないのに、乗る車両も立つ位置もだいたい決まっている。(座席の予約制度は、いつの間にか成立している)
一番おもしろいのは、最後尾の車両の、いちばん後ろのドア付近。ここに立つ人は、ほぼ毎日、同じ。背広のおじさんが、窓の外の線路をずっと見ている。ぼくも似たようなものだけど、あの人は、トンネルに入る前に必ず顔を上げる。何かあるんだろうか。知らんけど。ぼくは後ろに流れていくレールの継ぎ目の音を数えていて、だいたい三秒に一回、というところまでは調べた。速度が上がると間隔が詰まる。当たり前ではあるけど、毎朝それを確認している人間はたぶん、そんなにいない。駅の手前で減速するとき、音がゆっくりに戻って、ああ着くな、とわかる。あれが好きで、わざわざ最後尾に乗っているわけで……という話です。
今朝はくもりで、むしむししていた。その分、車内は少し眠い空気だった。乗り換えのつばめ原駅で人がごっそり降りて、急に静かになる。ぼくはそこでようやく座れる。さすがに朝から立ちっぱなしは、体力的にきついので、座れると少し得した気分になる。(誰も困っていないけど)
ていうか、あのおじさんの方も、最後尾の高校生がいる、くらいには思っているかもしれない。お互い名前も知らないまま、たぶん卒業するまで続くんでしょうね。
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